2016年1月25日月曜日

公正証書遺言に関する誤解 ~ ニュースの解説に見る

先日、ある公正証書遺言に関する裁判例について解説している記事をネットで読んだのですが、その解説の中に次のようなことが書かれてありました。

・ 遺言の有効性を法的に保証する「遺言公正証書」
・ 公証人が遺言を保証する遺言公正証書

公正証書遺言とは、遺言書を、公証人という役職の人が作成するものです。

内容は、原則として依頼する方が決める必要があるのですが、法律的な観点でのアドバイスが得られたり、また、法律(民法)で定められている形式上の要件でのミスがなく、検認の手続きが必要ない、という点で自筆証書遺言よりメリットがあると考えられています。
(公正証書遺言と自筆証書遺言のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。)

ところで、上記の解説は不正確であると思われます。 


「遺言の有効性を法的に保証する」という点においては、公正証書遺言についても、これまでにもその有効性を争われた裁判例はありますし、「無効」になった裁判例もあります。

従って、公正証書遺言だからといって、その有効性が保証されているわけではありません。


また、「公証人が遺言を保証する」という点については、一見すると、例えば遺言の内容について争いが生じた場合に、公証人が責任をとってくれる(責任をもって解決してくれる)、というふうにも思えます。

しかし、そんなことはありません。

もし遺言の内容に争いが生じ、当事者間での解決ができない場合には、家事調停、最終的には家事審判(裁判)ということになります。


公正証書遺言は、自筆証書遺言に比べると、安心・安全ではあるものの、上記のように「絶対」というものでもありません。

このような「誤解」は、「検認」についても見られるのですが、それについては別の機会に譲るとして、公正証書遺言を作成するときにもこのような誤解がないように注意していただきたいと思います。


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