2016年6月3日金曜日

信託銀行における「遺言信託」とは(中編)

「信託」制度とは、
  委託者から受託者に財産が移転する
  受託者は、受益者のために財産の管理・処分を行う
という2点が基本となる制度です。

さて、では信託銀行における「遺言信託」とは何でしょうか?

ちょっと難しい話ですが、もともと「信託」制度は、
  ローマ法が起源である説
  イギリスの慣習法を起源とする説
  ゲルマン民族における制度(ザールマン制度)を起源とする説
という大きな3つの説があるのですが、
このうちローマ法とザールマン制度は、相続や遺言執行がもともとの制度になっており、前回の最後にも書いたように財産を移転することが行われています。

では、「遺言信託」というのは何なのでしょうか?



これは、(信託銀行等が預かっている(信託銀行の場合は「信託してくれている」)財産があることを前提に)次の業務をまとめて委託してもらうものです。
 ・ 公正証書遺言の作成
 ・ 遺言書の預かり
 ・ 遺言執行

つまり、本来の意味での「信託」とは(少し)違う、と、ご理解いただきたいのです。

これらについては、信託銀行等の契約によって成立するのですが、その契約内容をキッチリ理解しておく必要があります。


公正証書遺言を作成するにあたって、遺言執行者を「信託銀行」にする、という点が重要になっています。


「遺言執行」とは、遺言書の内容を実現すること、と説明されます。


例えば、ある不動産をDさんに相続させる、と遺言した場合、その不動産の名義を移転(相続登記)する必要があります。

そのような、遺言に関連するさまざまな事務を遂行することを「遺言執行」といい、これを行う者を遺言執行者といいます。


これらについては、契約でいろいろ決まってくるのですが、例えば、遺言書を預かってもらうにも費用がかかるのですが、遺言の内容を変えたいと思い、遺言書の書き換えをした場合、改めて、その費用が必要になることがあります。


「改めて」というのは、最初に遺言書を作成し、預かり費用として5万円支払ったのち、遺言書を書き直して預かってもらう場合に、また5万円支払う必要がある、ということです。(金額は一例です。)


その他、
 ・ 遺言の内容を変更する場合は、信託銀行の事前承諾が必要
 ・ 遺言書を書き直す場合は、公正証書遺言でなければならない
 ・ 遺言執行者を信託銀行以外の者にする場合は、解約される
といったことが定められていることがあります。


実は、これらのことは事前にきっちり説明されていないことが多く、後々「え?そんなことになってるの?」と驚かれることがあります。


ちなみに、上に書いた「遺言信託」に関する業務については、行政書士や弁護士に依頼することも可能です。
必ずし、信託銀行に委託する必要はない、ということです。

また、行政書士・弁護士に依頼する場合、遺言書の内容を変更するのに承諾が必要といったことも通常はあり得ません。(内容等については、事前に相談することはお勧めしますが...)


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