2015年12月22日火曜日

特別受益がある場合 ~ 生前贈与がある場合、遺贈をする場合(1)

親にとっては、自分の子どもたちに対しては平等にしてきた、という思いはあると思います。

誰か1人に対して多額のお金(現金)をあげた、ということでもない限り、あまり区別をしたとは思っていないことが多いと思います。

一方で、相続トラブルのご相談を受けていると、非常に細かいところにまで「不公平感」を持っている相続人の方が多いことに気付かされます。


そのようなことに対して「考えすぎ」「細かいところまで言い過ぎ」と思われるようなこともあるかもしれませんが、相続の実際ではそのようなものだ、ということも知っておいていただきたいと思います。

さて、被相続人の生前に推定相続人に対して財産を与えていたり(生前贈与)、遺言で財産をあげることを書いていた(遺贈)場合、相続の場面ではどのようになるのでしょうか?

具体的に見てみます。

被相続人A  相続財産(相続開始時の財産) 8,000万円
相続人
 配偶者B
 子C
 子D

このようなケースで、法定相続分では、
 配偶者B(2分の1)  4,000万円
 子C(4分の1)    2,000万円
 子D(4分の1)    2,000万円
となります。

では、子Cが、1,000万円の生前贈与を受けていた場合はどのようになるのでしょうか。

このような場合、子Cは1,000万円の生前贈与に加え、法定相続分の2,000万円を相続することになると、不公平になると考えられます。

そこで、これを調整する「特別受益」という制度があります。

これは、生前贈与(特別受益)の額を、相続財産(相続開始時の財産)に加えて(「持ち戻し」といいます。)、その額を「みなし相続財産」として、具体的な相続財産を計算しようというものです。

上記の例では次のようになります。

みなし相続財産 9,000万円 = 8,000万 + 1,000

みなし相続財産の額を、法定相続分で、各相続人の本来の相続分を算出します。

 配偶者B(2分の1)  4,500万円
 子C(4分の1)    2,250万円
 子D(4分の1)    2,250万円

そして、生前贈与を受けていた子Cについて、生前贈与の額(特別受益額)1,000万円を差し引きます。

 配偶者B(2分の1)  4,500万円
 子C(4分の1)    1,250万円
 子D(4分の1)    2,250万円

この額が具体的な相続分になります。

この計算をして、もし特別受益を受けていた者の相続分が0円、又はマイナスになった場合、その者の相続分は無しということになります。



☞ 特別受益(持ち戻し、みなし相続財産)については、こちらもご覧ください。



☞ 産経関西 【寄稿】「気持ちを伝える遺言で人生をよりよく


  
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